仙台でどこに住むのがいいのか、子どもの教育環境もひとつの要因になると思います。
子どもが通う小学校を検討している、または引っ越しを検討している方を対象に、河合塾NEXTの講師がインタビューを受けた内容をお届けします。
小学校や中学校の学区を考えた転居
―小学校入学前のタイミングで、学区のことを考えて転居される方がいらっしゃるそうですが、本当ですか?
本当です。学区に関する問い合わせは少なくありません。以前であれば、進学先となる小学校や中学校が「荒れている」かどうかが判断基準となっていましたが、いまは各中学校の「進学実績」を気にされる方が多いようです。
公立中学校の進学実績
―進学実績と言っても公立中学校の話ですよね。そんなに違いがあるものですか?
他の大都市圏と比較すると、仙台は公立中学校間の実績格差が非常に大きいと言えます。最上位校であれば、1学年に60人から70人の「二高・一高予備軍」が在籍しています。少ない中学校になると予備軍は10名以下、なかには数名という中学校もありますよ。
\ ナンバースクールにはどの中学校からの進学者が多いかを動画で確認する /
\ 地域中学校の高校進学実績を聞く /
公立中学校で学区により差が出る要因
―そんなに違うんですか!公立中学校だから教科書や学習進度は大差無いはずなのに、不思議ですね。
おそらく、首都圏などと違い、優秀層の受け皿となる中高一貫校や私立校が少ないことが要因でしょう。そうした学校は皆無、というわけではありませんが、皆がこぞって中学受験する、という状況ではありません。公立中学校を選択する優秀層が多く、そうした人たちがこれまでの実績や伝統などを考慮に入れながら特定の学区へ集まってきている、というのが実情です。
進学実績の良い学区へ行くべきか
―なるほど。やはり、なるべく実績の高い中学校へ進学したくなりますよね。
実績の高い、つまり優秀層の厚い中学校へ進学することが常によい、とは限りません。優秀層が多いということは、その集団のなかで秀でることを困難にします。また、以前と比べるといまの定期テストはずいぶん易しくなりましたが、それでも優秀層の多い中学校のテストはそうでない学校のものと比較すると難易度が高くなっています。「高得点を取りにくく、目立ちにくい」ということは、通知表で「5」をもらいにくい、ということでもあります。同じような学力の生徒なのに、上位校では「4」、優秀層の薄い中学校では余裕で「5」、という状況はよくあることです。「二高に毎年20人も30人も入れるから」ということだけではなく、優秀層のなかに入ってもたくましくやっていけるメンタリティがあるかどうかなど、学区選びは総合的に考えることが大切でしょう。
―なるほど。そう単純ではないということですね。
\ どの学区が合うか聞いてみる /
進学実績の高い学校に行くメリット
優秀層の厚い学校を選ぶ最大のメリットは、「朱に交われば赤くなる」ということでしょう。そうした学校の子は早くから塾通いをしますし、高校入試にとどまらず、もっと先を見据えた教育的投資をされる保護者がたくさんいらっしゃいます。そうしたなかで過ごせば「当たり前のライン」が親子ともども自然に底上げされますよね。
\ 小学生から一高・二高対策をする /
上位層の全国的な位置
―周囲からのよい刺激が魅力、ということですか。ところで、上位層の学力は全国的にみるとどうですか。
うーん、これは残念ながら「良い」とは言い難いところがあります。先ほど言ったように、定期テストがものすごく簡単になってしまったこともありますし、何より公立高入試が全国的にみても非常に易しいものになっています。仙台の場合は二高を頂点とする公立高への進学を目指す子が圧倒的に多いですから、どうしても学習の基準が公立高入試になってしまうんですね。公立入試に出ることしかやらない、そんな学習スタイルです。こうした理由で中学卒業時に到達する学力レベルが下がってしまうのです。
―高校入学後や大学入試を考えるとあまりよい状況ではない?
おっしゃる通りです。中学卒業時の学力と高校入学後に学習する内容とのギャップはどんどん広がっていますから、いわゆる「高1ショック」に苦しむ可能性は高くなります。また、大学入試は「全国大会」だということからすれば、高校入学時にのちのライバル達にかなり差をつけられた状態が生じています。
\ 小学生から全国大会の対策をする /
―では、仙台という土地において、学習面で「強く生きる」ためにはどうすればよいのでしょう?
その話はまた長くなりそうなので(笑)……それを次回のテーマとしましょう。
―わかりました。次回もよろしくお願いします。